『酪農をもっと身近に・もっと楽しく・もっと色んな人と共に』

私が酪農を生涯の仕事として選択して約20年が経ちました。

酪農に身を置くきっかけとなったのは、大学卒業後に経験したアメリカでの牧場実習でした。 アメリカで目の当たりにした酪農の姿は、非農家と農家がとても身近に地域で共に暮らしており、酪農が地域にしっかりと馴染んでいるもので、酪農家の家庭や子供が「酪農に従事する・家を継ぐ」という感覚だけではなく、「その地域の雰囲気を作り上げている酪農に誇りを持って楽しく取り組む」という姿でした。
また、実際の牧場経営においては、ブリーディングによる牛作りや研ぎ澄まされた牛群作りへの飽くなき探求が繰り広げられており、プロフェッショナルとしての格好いい姿を見せつけられました。『身近さとプロフェッショナル』というアメリカで見た酪農は、酪農そのものの歴史の深さを私に感じさせ、「自分もこのような酪農を日本でやりたい」と強く思い立ち、帰国後に家業を継ぐことを決心しました。 この時に感じた『身近さとプロフェッショナルの両面を持ち合わせた酪農家になりたい』という初心は常に私の頭の中にあり、今に至ります。

家業を継いだ20代の頃から、当牧場では道内外の酪農後継者や農学校等の学生を実習生として多数受け入れ、寝食を共にしながら自分の持っている知識やスキルを伝えるだけでなく、自分がアメリカで感じた「酪農ならではの大変さ・楽しさ・魅力・責任」を伝えてきました。また一方で「酪農をやってみたいけどきっかけが…。働ける場所はどこにあるのだろう？」という方に出会う経験もたくさんしてきました。


植田牧場では、自農場の規模拡大に伴い、そうした方々を経験・未経験を問わず受け入れて従業員さんとして働いて頂き、今現在の姿があります。「自分は酪農の中のこの分野のエキスパートになりたい」という思いには自農場を存分に提供して励んで頂き、「いつかは独立して自分の牧場を持ちたい」という思いには、うちでの経験を足掛かりにして羽ばたいてもらえたらと思っています。昨今では、北海道移住への憧れとともに北海道らしい仕事をしたいという気持ちで酪農への就職を希望される北海道外の方もぐんと増えてきました。また、世の中の急激な変化に伴って「自分らしい暮らし方」を求め田舎に目を向ける方も増えています。
様々な目的や思いを持って酪農に目を向けて下さる方々にとって、垣根のない飛び込みやすい職場を作ること、また自分の目指すプロフェッショナルを追求する職場を作ることが、私の酪農人生のきっかけとなった初心に繋がると感じて牧場を経営しております。『酪農をもっと身近に・もっと楽しく・もっと色んな人と共に』そんな思いを一緒に感じてもらえたらこの上ない幸せです。

代表 植田 紘史